卒業生の言葉 その1

  先日、中学校も卒業式が行われました。15歳の春に、卒業生たちは何を思うのか・・・式次第に卒業生の言葉があります。今年巣立っていった9年生たちは、どんな言葉を残して巣立っていったのか、彼らの言葉をお伝えしていきます。

  僕はこの卒業生の言葉を昨日3回目の書き直しをした。昨日人が誰もいなくなった工芸室でやっともうこの学校から卒業するんだなというのを僕は思い知った。もう明日からはこの学校にくることができない。これは頭ではわかってるけど、どこか理解しきれている感覚がない。心から卒業できる気がする全くしないのだ。また明日から未知の世界が広がっているのが本当に怖くて仕方ない。だから僕はこの学校から卒業したくない。これが本音だ。
  この明星での三年間は最後の一年が僕としては圧倒的に楽しかった。それは頑張ることができたからだ。最後の一年僕はかなり積極的に色々なリーダーをやった。大きくは二つ、サッカー部の部長と運動会の副応援団長だ。特に副応援団長は強く思い出に残っている。僕は最初副応援団長ではなく団長に立候補していた。しかし選挙で団長には落ちてしまい、空いていた副応援団長をすることになってしまった。副応援団長はつまらなそうだったし四役の中でも僕の中ではランクとして最下位だった。だから正直やる気はあまりなかった。でも結果的に僕は副応援団長で良かったなというふうに思っている。僕の仕事は3グループあるうちの1つのグループにダンスを教えることだった。もうそこからは地獄のような仕事量だった。初日から教えるはずだった自分さえもふりを覚えていないというものすごいヘマをかますし、周りのみんながついてきてくれなかったりと大変だった。また今までは感じたことのなかった責任感や圧迫を感じて本当に心が疲れることもあった。けれど日が過ぎていくごとに、今日は誰々がいないからあそこは自主練してもらって、その間こっちはスピーカーなしで練習してとかいうことを常に自然と考えられるようになった。あれだけ切羽詰まった状況にいたはずなのに今度は自分が他の人を助けているということ気づいた。周りを見て考え今何が自分に出来るのかということを考えるのは本当に疲れた。ただそのぶん達成感は大きかった。家に帰って泥だらけで後で塾も行かないという状況でもどこか幸福感があった。自分頑張ってるなという自己肯定感だったのかもしれない。応援ダンスの結果は3位で確かに悔しかったけど僕はそれよりも練習期間を頑張って最大限やり通したという達成感の方が遥かに勝っていた。
  こんなに眩しい時間を作れたからこんなにも頑張るという素晴らしいことを学べたから僕はこの学校を卒業したくない。けど別に心まで卒業する必要はないと僕は思う。だって心までこの学校から卒業したらせっかく得た、頑張るということまでなくなってしまう。だから僕は心まではこの学校から卒業しない。だってもうすでにこの明星学園も僕の心の一部だから。

92組  兼盛 福寿

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