好きなこと、楽しいことは、
世界と自分の
コネクションの中にある

2010年度 小学校卒業 (小中)

中山 ひとみさん

京都大学

農学研究科 博士後期課程

中山 ひとみ

小学校時代の思い出

一言でいえば、のびのび過ごした小学校生活でした。自分のこだわりたいことに没頭していました。授業のノートの書き方ひとつとっても、鉛筆の種類、ノートの罫線、文字の横幅、括弧の種類、インデントの作り方など、どうしてもこうしたいという方法があのときはあったようです。恵まれた環境でした。みんながやってるようにしなさいとか、みんなやってないからやめなさいとか、言われたことは一度もありませんでした。

印象的な授業について

なぜ物質の温度を上げていくと体積が大きくなるのだろう?水だけを少し入れた風船に熱湯をかけると風船は膨らみました。物質の三態変化を分子のモデルで理解した理科の授業が印象に残っています。先生たちは、簡単に答えがわかってしまうクイズを用意することはありませんでしたし、あてずっぽうの答えを待っているのでもありませんでした。本質に迫る問いを自分で考えさせてくれていました。あのとき何がうれしかったのか思い返せば、自分で考えて自分でわかったことでした。ちなみに、明星の中学校の理科では、鉄球をバーナーで熱すると少しだけ体積が大きくなることも確かめました。

現在の自分

土曜日朝7時、村のお母さんが作ってくれたナシゴレンを食べた私たちは、となりの村に急いだ。インドネシアのジャワ島の山村。バナナの木も見慣れたその道をバイクで走る。となりの村の待ち合わせ場所にはもう男たちが集まっていた。ここからは歩いて山道を登る。重い荷物を運んでサンダル履きの彼らは軽々と進んでいく。私はペットボトルの水1本しか持っていないのにあっという間に引き離されてしまった。今日はみんなで生姜の畑を作る。彼らは森林を共同で使うグループだ。やっと到着した斜面を彼らは耕していく。見上げればコーヒーの木。もっと高い木はマツの木だ。その日の調査でわかったことは、共同作業は週1回あること、彼らのコーヒーの木は背が高く収穫には梯子を使うこと、挽いたトウモロコシは塩辛い干し魚とよく合うこと。もっと知りたいと思ったことは、収穫された作物が誰にいくらで売られるか、彼らの家族はどのような仕事をしているか。私が大学で取り組んでいるのは、森林の利用と保全、家庭での労働分担、そのような研究です。

後輩(保護者)に向けたメッセージ

小学校を卒業して14年経ちました。好きなこと、楽しいことは、世界と自分のコネクションの中にあると思います。人には教えてもらえないでしょう。私が取り組んでいる研究の楽しさを伝えようと書いてみましたが、あまり伝わっていないかもしれません。だからこそ、自分の中にある「なぜ」や「やってみたい」は大事なのだと思います。