卒業生の言葉①

2025年3月9日に本校において、卒業式が行われました。

今回の卒業式では、小学校から入学した生徒、中学校から入学した生徒、高校から入学した生徒、それぞれに卒業生代表の言葉を依頼しました。

それぞれがどのような言葉を残してくれたのか、皆さんにお伝えしたいと思います。

まずは、小学校から在籍の髙橋咲和子さんの言葉です。

こんにちは。122組の髙橋咲和子です。 本日の卒業生代表のうち、私は「小学校から明星生」として読ませていただきます。とは言ってもこの12年間のうち、中学と高校の6年間は普段の授業や学校行事より所属していた和太鼓部が私の全てでした。ですのでその話をさせていただきます。

和太鼓部が全て、と言いましたが正確には和太鼓部と太鼓、が全てでした。太鼓を叩いていると自分が何かとても大きなものと対峙し、それに体当たりしていくような感覚になります。かと思えば、しんとした静かな気持ちになるときもあります。私は太鼓も太鼓を叩くことも大好きです。 一方で、私にとって和太鼓部はひたすら太鼓と向き合える場であると同時に、人との関わりについても学べる場であったと思っています。和太鼓部での活動には太鼓とは直接関係の無い何かしらのトラブルが毎年必ず起こり、中でも部員同士の揉め事は本当に年がら年 中起きていました。太鼓を叩くことなく話し合いだけで部活が終わる日もあるほどです。私は太鼓を叩くためだけに部活に行っていた時期もあったので、もう部活をやめて地域の太鼓教室に入ろうかと思った事もありました。

ですが、私はその中で自分が舞台で大切にしたいことと、人との関わりで大切にしたいことは同じなのだと感じました。 演奏は、自分が楽しいだけではただの一方通行の音として終わってしまい、人の心に届く音にはなりません。そうならないためには一緒に演奏している人や目の前にいるお客さんが何を感じているのか考え続ける必要があると思います。 同様に、人と関わるとき、特に誰かに自分の本気を伝える時も、一方的に押しつけてしまえば伝わるものも伝わらなくなります。 どちらも、根っこにあるものは「対話」であり相手から投げられた言葉や感情を丁寧にキャッチしなければ何かと上手くいかなくなるのだと思います。

入部してから引退するまでの6年間、私は自分自身のことでも学年のことでも、部全体のことでも本当に沢山の壁にぶつかり、そのたびにそれらと向き合って、考えて、そしてまた考え直して、を繰り返してきました。振り返ってみれば、6年間、その壁をいつでもきれいに乗り越えて来られたわけではありません。乗り越えずに、横から無理矢理通り過ぎたこともありましたし、乗り越えたと思ってもあれで良かったのかと考えることの方が多いように思います。 私も、私達の代も、決して器用にここまで進んでこられたわけではありませんが、周りでいつも支え続けてくださっていた先生方や保護者の皆様のおかげで、現役としての最後の舞台まで心から和太鼓部 を楽しむことができました。

中学からの6年間の話をしていましたが、実は私は小学校にあった日本芸能クラブという活動の中で太鼓と出会いました。部活ほど真面目に取り組んでいたわけではありませんでしたが、当時の先生方はそんな私を温かく見守って下さり今も舞台を観に来てくだっさっています。

正直なところ12年になるまでは、部活と太鼓は私自身が自分で頑張っていたからここまで続けていられたのだと思っていましたが、 続けるという事だけで考えても、小中高で関わった方々の応援があったからこそ好きなことにここまで本気で向き合い続けることができたのだと感じています。

4月から、私は太鼓芸能集団鼓童というプロの太鼓グループに入団することを目指し、新潟県の佐渡島にある、鼓童文化財団研修所というところに入所します。

これからも明星学園での12年間で培った力でいつでも考えながら一歩ずつ進み、自分の心をもっともっと耕しながら生きていこうと思います。

明星学園の皆様、12年間本当にありがとうございました。

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