中野 光 (なかの あきら)
大草美紀(資料整備委員会)
中野光、なかのあきら
教育学者
大正自由教育の研究者
赤井米吉の研究者
1929年(昭和4)7月1日ー2023年(令和5)5月12日
東京文理科大卒
桐朋学園から、金沢・和光・立教・中央の各大学教授を歴任、教育学・教育史を研究・講義
現在「日本子どもを守る会」顧問
2004年にはペスタロッチー教育賞
中野先生は教育思想の研究、とくに大正自由教育の研究者として、多くの人たちの敬愛を集めていらっしゃいます。
先生は1929(昭和4)年のお生まれで、東京文理科大学をご卒業後、1954年、25歳のときに、調布市仙川の桐朋学園中学・高等学校の数学担当の専任教員になられました。桐朋学園の初等部が発足するのはその翌年のことですが、先生は初等部開設準備のための中心的役割を果たされ、1955年の発足から4年間、草創期の小学校の教師をつとめられました。
その後、金沢大学、和光大学、立教大学、中央大学の教員を歴任されました。その間、日本生活教育連盟委員長、日本子どもを守る会会長、日中教育研究交流会議代表等をつとめられ、現在は顧問でいらっしゃいます。
著書もたいへん多く、『大正自由教育の研究』『教育改革者の群像』『大正デモクラシーと教育』『中野光教育研究著作選集』『日本のペスタロッチーたち』など数々の著作を発表されています。
なお、2004年には、長年の業績により広島大学から「ペスタロッチー教育賞」を受賞されました。
先生は明星学園とのゆかりが深く、とくに生前の赤井米吉先生とのおつきあいがあり、そうしたご縁から明星学園でこれまで2度も講演をされています。
創立50周年のおりには高校生を対象に、60周年の年にはPTA主催で父母・教職員を対象にした講演をされ、ともに深い感銘をあたえられました。
先生の著作や講演にふれますと、高い研究の成果がご自身のさまざまな教育実践と一体となっていることが、一言一句からも読み取ることができるように思います。
<著書>
Ⅰ.主著(*印のついたものは赤井米吉研究について比較的多くのページをさいた)
1)「大正自由教育の研究」*(1968、黎明書房)
2)「教育改革者の群像」*(1976、国土社)
3)「大正デモクラシーと教育」(1977、新評論)
4)「学校改革論」(1982、青木書店)
5)「生活教育の探求」(1984、民衆社)
6)「戦後の子ども史」(1988、金子書房)
7)「希望としての子ども」(1992、岩波書店ブックレット)
8)「桐の朋―教育者・生江義男を読む」(1994、私学公論社)
9)「中野光教育研究著作選集第1巻―教育空間としての学校」(2000、つなん出版)
10)「 同、 第2巻―日本の教師と子ども」(2000、つなん出版)
11)「 同、 第3巻―戦間期教育への史的接近」(2000、つなん出版)
12)「もっと生かそう教育基本法」(2003、つなん出版)
13)「日本のペスタロッチーたち」(2005、つなん出版)
14)「ペスタロッチーをどう読んできたか」(2005、つなん出版)
15)「学校改革の史的原像―大正自由教育の系譜をたどって―」(2008年6月発刊の予定、黎明書房)
Ⅱ.共編著
1)「教育のあしおと」(1977、平凡社) 共著者:中内敏夫、竹内常一、藤岡貞彦
2)「児童の村小学校」(1980、黎明書房) 共著者:高野源治、川口幸宏
3)「大正自由教育の光芒」(1993、久山社) 共編者:冨田博之、関口安義
4)「教育学」(1997、有斐閣) 共著者:平原春好
5)「日本の教師全24巻」(1993-6、ぎょうせい) 共同編集者:稲垣忠彦、寺崎昌男
Ⅲ.赤井米吉の驥尾に付して