学園
2024年度『小中学校 公開研究会』全体講演は平田オリザ氏『主体的・対話的で愛のある学び』
今年度小中学校公開研究会が11月23日に行われました。全体講演は劇作家で演出家の平田オリザ氏。長く学校教育における「演劇教育」を提案実践される第一人者であり、国語教科書の教材作成にも尽力されてきました。現在も小学校から大学まで、子どもたちと関わりながら実践をされています。平田氏が拠点を置く兵庫県豊岡市や宝塚市では全ての公立小中学校で「演劇」のカリキュラムがあるそうです。
そもそも先進諸国の中で「演劇」が学校カリキュラムにない国は圧倒的少数派とか。
大正自由教育の流れを汲む学校の多くは創立当初より、「演劇」を学校教育における大切な学習活動として位置づけてきました。明星学園も例外ではありません。生徒一人一人の個性に役割を与え、互いに認め合うことを前提とする活動だからでしょう。
平田氏の今回の講演のテーマは『主体的・対話的で愛のある学び』。学習指導要領の『主体的・対話的で深い学び』を批評する形でタイトルが決められたようです。「主体的であることと対話的であること、時に矛盾する関係でもあります」「対話的とはどういうことでしょう? 対話と会話、何が違いますか?」「主体的で対話的なら学びが深くなるのは当然、問題はどうすれば主体的で対話的になるかということ」。なぜそこに「愛のある学び」と置いたのか。
具体的な実践例を踏まえながら話は進みます。
フィクションとは嘘をつく力。人を楽しませる嘘。学校の作文で自分の気持ちを書きなさいと言われ苦しんでいる子どもたち。「演劇教育」に求められるもの。会話文の大切さと一人一人の子どもを大切にすることの意味。
大学入試改革についても具体例を挙げながら分かりやすく説明いただきました。ここ数年の大学入試問題は一部で驚くべき変化を遂げています。大阪大学やお茶の水女子大の先進的な取り組みは今後の方向性を示すものになるかもしれません。
検索すればすぐ出てくる知識の量を競うのではなく、これからさらに必要となってくる力とは? 本物、良いものに触れることでしか培うことのできない「身体的文化資本」と、数字に表すことのできない「非認知スキル」。改めてこれまで明星学園が大切にしてきたものではないかと思うのです。
平田氏の中身の濃い、ユーモアあふれる講演は、私の力では到底再現できません。是非、動画をご覧ください。
公開研究会の当日は、参加申込者が多く、保護者の皆さんには会場で平田オリザ氏の講演を聞いていただくことができませんでした。申し訳ありませんでした。先日、Web通信でお送りした保護者限定公開の講演の動画を是非ご覧ください。
(学園広報 堀内)